経営哲学
Online ISSN : 2436-2271
Print ISSN : 1884-3476
投稿論文
新制度派組織論における制度概念の構成要素に関する研究
古田 駿輔
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2026 年 22 巻 2 号 p. 87-101

詳細
抄録

新制度派組織論の研究では、「制度」概念の構成要素が曖昧であるという問題を抱えている。先行研究では、制度概念の構成要素に関する研究は部分的に提示されてきたものの、制度概念の構成要素そのものを体系的に検討する試みは十分とは言えない。これらを踏まえ、本論文では制度概念をその構成要素の観点から検討することを目的としている。

本論文では、まず新制度派経済学との比較を通じて、新制度派組織論が制度を理念型として捉え、文化―認知的側面に立脚していることを確認した。そして、先行研究における制度概念の捉え方を①ルール、②パターン、③プロセスの三つに整理した。そして③の立場に依拠し、制度を「特定の文脈において常に生成しつつも持続する、集合的に自明視された秩序」と定義した。正統性や制度ロジックを制度の構成要素から切り離し、制度概念の構成要素として①構成的ルール、②スクリプト、③制度的アクターの三点を提示し、理論モデルを提唱した。本稿の意義は次の三点である。第一に制度そのものと正統性をはじめとした結果に関わる要素を理論的に区別する視座を示した点にある。第二に、制度変革や制度維持といったプロセスを、構成要素の再編として分析できる可能性を示した点である。第三に、制度的アクターの概念を導入することで、制度と単なる慣習とを区別する理論的基準を提示し、制度概念の過度な拡張を抑制する可能性を示した点である。

著者関連情報
© 経営哲学学会
前の記事
feedback
Top