本論文では、「実務家による講演」を大学生向けの経営学教育の中で活用することの効能を検証する。隣接する教育分野、例えばキャリア教育や起業家教育の分野においては、頻繁に「実務家による講演」が多用されている事実が先行研究において報告されており、また、その講演が受講者に与える効果についても研究されている。しかし、経営学教育の分野における「実務家による講演」の活用と教育効果については、必ずしも体系的な調査と分析が十分になされてきたとは言い難い。この間隙を埋める目的で、本研究は調査と分析を展開している。具体的には、7年間にわたって記録蓄積した受講者意識調査データを用いた分析により、受講学生の「講義内容への興味」、「講義内容の理解」、「企業への関心」それぞれに対する「実務家による講演」の影響効果を本論文は明らかにしている。データ分析の結果として、第一に「実務家による講演」の全体的な教育効果の存在が認められる。第二に、講演者の経営上の職位の違いは教育効果に影響しないことが示される。第三に、講演者の所属業種の違いは受講者意識に影響しうることが示される。第四に、受講者に大きな影響力をもった「実務家による講演」の特徴が明らかにされる。第五に、オンライン形式の講演が対面形式の講演と同等の教育効果を持ちうることが確認される。最後に、調査の継続と研究の将来展望に言及する。