徒手理学療法
Online ISSN : 2434-4087
Print ISSN : 1346-9223
症例研究
肩の運動時痛を主訴とした症例に対するMDTに基づいた評価・マネジメント
佐野 華
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2021 年 21 巻 2 号 p. 63-68

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抄録

Mechanical Diagnosis and Therapy (MDT)では,検査としての負荷によるベースライン症状の変化に応じて症状を分類し,エクササイズを選択する。患者もこの過程を踏襲することでセルフマネジメントできる利点がある。ここでは投球時の肩関節の疼痛により肩関節周囲炎・腱板損傷と診断された患者に対しMDTの評価と分類を行い有効にセルフマネジメント出来た症例を紹介する。問診に続き,主訴である投球動作中の疼痛,肩の可動域制限や痛みをベースライン(BL)として効果判定の指標とした。肩の症状と脊椎の関連性を明らかにするべく,スクリーニングとして脊柱(頸椎・胸椎)の運動負荷検査を実施したが検査前後でBLに変化を認めなかった。続いて肩関節の運動負荷検査の際,伸展でセッション中にBLが著明に改善したためMDT分類をDerangement, Directional Preference (DP)肩関節伸展とし,これをセルフエクササイズとした。エクササイズの継続により,疼痛なく投球動作が可能となり,改善した状態も維持された。

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© 2021 日本徒手理学療法学会
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