徒手理学療法
Online ISSN : 2434-4087
Print ISSN : 1346-9223
総 説
産前産後のマイナートラブルとメンタルヘルス
荒木 智子
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2024 年 24 巻 2 号 p. 49-56

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抄録

妊娠中や産後のマイナートラブルは,妊婦の75%が経験する。母子の生命を直接脅かさないが,日常生活に影響を与える。腰痛や尿失禁などが頻発し,またメンタルヘルスにも関連する。周産期うつ病の有病率は5~20%,不安障害は15~20%である。理学療法士は,詳細な個別評価と臨床推論に基づく介入により,身体症状の改善を通じてメンタルヘルスの向上にも寄与できる可能性がある。先行研究では,身体症状とメンタルヘルスの関連が報告されている。妊娠・出産は肯定的経験だけでなく,喪失経験でもあり,女性とその家族の生活に大きな変化をもたらす。これらの変化を評価することは,予防と早期介入が重要である。今後の課題として日本での研究の発展や教育の充実がある。産前産後のマイナートラブルへの適切な対処が,女性の心身の健康増進につながることが期待される。

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© 2024 日本徒手理学療法学会
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