抄録
2011年3月11日に発生した東日本大震災とそれに続いた東京電力福島第1発電所における原子力発電所事故は、日本経済に多大な影響を与えた。しかし、その影響の実態が必ずしも明らかにされたとは言えず、それがゆえ震災と放射能汚染から復興するための経済政策についても諸説が唱えられている。本稿では、震災から1年にわたる経済統計をもとに、放射能汚染を含む震災の経済的な影響を分析し、ありうべき復興のための経済施策を提言する。結論は、不況からの復興と震災からの復興を分離し、震災からの復興については被災地域に限った復興を目指すべしというものである。