最終処分場における埋立区画への浸出水循環は、一般的に水分の供給による生物分解促進と、放流可能なレベルまで浸出水質を改善するために行われる。一方本研究では、蒸発散量が大きい半乾燥地域である研究対象地で埋立区画に浸出水を循環させ、環境への越流量を減少させることを目的とした。
本論文ではバルニ処分場における廃棄物の搬入状況や気象条件から水量収支を検討するモデルを作成した。本検討は、2016年に改修されたものの維持管理がガイドライン通り行われていないことに加えて浸出水処理池の容量が十分でない準好気性埋め立て処分場を対象として浸出水の越流量について改善策を検討したものである。モデルに使用したパラメータは処分場への水流出入量、循環量、地下水侵入量、蒸発散量等である。また浸出水貯留池の容量と浸出水循環可能量等の計算を行えるよう、処分場への廃棄物搬入量や気象データを収集分析した。
モデルでは複数の直列配置の埋立区画と浸出水貯留池を表現したものを設定した。モデルは浸出水の発生と流入出・減少過程が表現できるものとなっている。一方ケーススタディにおいては定量化を簡略にするため、埋立区画と貯留池は各1カ所のみを設定してバルニ処分場の現状をシミュレーションした。
さらに筆者らは浸出水貯留池の適正な容量と循環ポンプの能力の組み合わせを提案する手法も提案し、「越流等量線ベクトル手法」と称した。これを用いて浸出水の蒸発散を促進し、越流期間と総越流量を減じ、浸出水の非越流化を達成することを目指した。この方法は変化する浸出水量の管理に重要な手法であり、越流量の減少と非越流化に必要な条件を提案できるものである。分析では、特に浸出水の循環量と貯留池の容量に焦点を当てて検討した。浸出水の非越流化には貯留池の大きさとポンプ能力で様々な組み合わせがあるが、運転費が必要な循環ポンプの経済面についても考慮を行った。このアプローチは、さまざまな気象条件において最終処分場管理者が浸出水量を管理する際の利便性の高い手法を提供するものであると考えられる。
地球上の植物はすべて、大自然が大気中の二酸化炭素(CO2)と水から合成した高分子有機炭素化合物(Organic Carbon Compounds: OC)で構成されている。人間生存に必要不可欠なエネルギー源としてこれまで主に用いられてきた化石燃料は、地質時代の大気炭素から合成されたOCからできたもので、化石燃料の利用は地質時代のCO2を現在大気に放出する結果となり、このことが温暖化を引き起こしている。温暖化を回避するために、世界は2050年までの大気へのCO2の実質的排出量ゼロを宣言した(2015年パリ協定)。
化石燃料に替わるエネルギーとしては太陽、風、植物など自然の力に依存する技術が中心となるが、このうち植物エネルギーは、24時間安定供給できる点で、太陽、風エネルギーより優れている。植物エネルギーの課題は、原料の安定調達およびその分解・改質技術の開発にある。
著者らは原料植物として、その面積当たりの土地生産性が特に優れる竹に注目し、竹が持つ高いカリウム(K)含有量によるクリンカー発生を回避するため、「K化合物の気化温度以下に温度をコントロールする」という必須条件を課した。この必須条件を満たしつつ、高効率な水蒸気改質に必要な熱化学的条件(通常900℃以上)を両立させるため、触媒担持チャーによる低温改質技術が開発され(750℃以下)た。また、その熱分解・改質ガス化装置としてハイブリッドキルン(外部加熱型気固接触構造内装水平ロータリーキルン)を開発した。本稿はこれらの技術による電力供給事業を目標として、その開発過程と将来性について述べたものである。
本研究は、ポストハーベスト損失(PHLs)と食品廃棄について、日本や米国といった先進国と、ネパール、インド、バングラデシュ、パキスタン、タイなど穀物損失が依然高いアジアの開発途上国(DCs)を比較している。これらの格差を把握することは、世界の食料システムの強靱性を高めるための政策や対策を検討する上で重要である。
開発途上国では、インフラ不足や不十分な貯蔵施設、限られた市場アクセスにより、生産物の多くが市場に届かず、PHLsが深刻化している。一方、先進国では、過剰購入や外観基準、流通の非効率性により、農場以降の消費・小売段階で損失が多い。こうした違いは、地域に応じた廃棄削減策の必要性を示している。
食料損失の削減は低コストで効果的な施策であり、特にDCsでは農村開発や貧困削減に大きく寄与する。小規模農家への教育、農村インフラ整備、品質保持に対するインセンティブ強化などが重要である。本研究は、開発途上国と先進国のPHLパターンの主要な相違点を明らかにする。