MACRO REVIEW
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上昇気流型風力発電における熱システム
木下 幹夫
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1993 年 6 巻 1 号 p. 15-19,57

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抄録

高度数kmの人工構造物を用いた億kW級上昇気流型風力発電の空気加熱・加湿のための熱システムを,亜熱帯平原沙漠上,及び海洋上の発電システムについて考察した。太陽熱を利用した亜熱帯平原沙漠での発電において,出力の増加に従い,太陽熱集熱に必要な面積は増加するが,これに伴い,巨大な熱の輸送が問題となる。蓄熱体を移動させるシステムより,太陽熱集熱地域内において,構造物を移動させるシステムの方が,簡易なシステムとなり,エネルギー収支的にも有利であると考えられる。 海洋上の発電システムでは,広い領域における構造物の移動が可能であり,好ましい気象条件での発電が可能である。このため,表面海水と同程度の湿潤空気を用いても,十分大きな出力が期待される。このため,熱源としては,自然の状態の表面海水の利用が可能であり,海洋生態系への悪影響が懸念される巨大な面積を有する人造の太陽熱集熱領域が不要なシステムの構築が可能であると考えられる。

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© 日本マクロエンジニアリング学会
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