1996 年 8 巻 2 号 p. 81-91
霞ケ浦の土浦市で実施された4つのアンケート調査から、1975年に導入された粒状活性炭ろ過と1985年に導入された生物処理装置導入の効果は、水道水のカルキ臭やカルキ臭以外の臭いを感じる人の割合を半減させたことである。しかしながら、まだ21%の人々は、カルキ臭以外の臭いを感じており、また約4割の人々は水道水がまずいと感じている。このような汚れた霞ヶ浦の水から作られた水道水を飲まざるを得ない土浦市の人々は、その被害を防止するための様々な費用を支出しており、その被害防止支出額の合計額は霞ヶ浦給水人口約39万人で、約43.4億円/年に達している。また、CVMでの支払い意思額WTPの測定では、すくって飲めるまでの水質改善の便益は、琵琶湖での計測結果が1人1ケ月3,964円に対して、霞ケ浦では1人1ヶ月5,454円であって、この額は割引率5%、耐用年数30年での投資価値は4,821.8億円と推計された。