2021 年 99 巻 1 号 p. 181-200
GPM衛星の二周波降水レーダによる降水推定では伝搬路積算減衰量の推定が重要である。その推定には表面散乱の特性を生かした表面参照法が用いられるが、本論文ではその最新の実装法について述べる。単周波と二周波による表面参照法があり、一般に後者の方が良い結果を与える。ただし、Ka帯レーダのデータが使えない場合にはKu帯のみの表面参照法となる。二周波法により減衰量推定が改良されたが、弱い降雨や陸上の衛星直下付近の降雨についてはHitschfeld-Bordan法と通常の二周波解析による結果がより良い結果を与える。これら方法による伝搬路積算減衰量の推定値の重み付け平均がもっともよい結果を与えると判断される。