気象集誌. 第2輯
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大気熱放射の数値実験
高橋 浩一郎朝倉 正片山 昭
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1960 年 38 巻 4 号 p. 175-181

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抄録

大気の熱放射についてはすでに多くの人が研究しているが,ここではモデル的な気温,露点温度,雲の鉛直分布を仮定し,山本の放射図を基にし,大気を50mbの層にわけ,電子計算機により数値計算々行った。
その結果は地表の気温,気温と露点温度の差,雲をパラメーターとして表示した。
この表をみると,露点温度が多少変化しても放射の流れや収れんはあまり大きく変らないが,雲の状況は非常に大きな影響があり,大気熱放射を論ずる場合には雲の模様を正しく推定することが一義的に重要なことがわかる。また,熱放射による大気の冷却の模様を調べてみると,ロンドンが計算したように大気の中層に冷却の大きいところが出るが,それ以外にも成層圏の上部,地表付近にも冷却の大きいところが出る。また,地表の気温を大気の気温の且安とするとき,地表の気温がかなり変化しても大気外への放射量はあまり変化しないことがわかる。

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