気象集誌. 第2輯
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エーロゾル粒子の洋上拡散にともなう粒径分布の変形
三崎 方郎池上 三和子金沢 五寿雄
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1975 年 53 巻 2 号 p. 111-120

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抄録
陸地起源のエーロゾルが海洋上へ広域拡散して行くときには,単にその濃度が減少して行くだけではなく,粒径分布の形が変えられて行く.この粒径分布の変形が,1972年と1974年の再度にわたる凌風丸による東京•小笠原間航海の船上観測によって確められた.
著者が開発した大気イオン移動度スペクトロメーターによる小粒子領域のエーロゾル粒径分布と,ロイコ型スペクトロメーターによる大粒子領域の粒径分布とを組合せることにより,エーロゾル全領域(半径3nm~5μm)の粒径分布が,東京•小笠原間1000kmにわたって連続的に求められた.
さらに,エーロゾルの拡散にともなう稀釈効果を評価するために,ラドン濃度の同時観測を行った.ラドンは大気中では気体状であるから,粒子が受けるような減衰作用の対象ではない.しかもその起源は実際上陸地に限られているから,観測された減衰は放射性物質としての自然減衰と,拡散による稀釈以外にない.したがって,観測された見掛けの減衰率から既知の自然減衰率を差引けば,拡散による稀釈の効果を見積ることができる.
一方,エーロゾル粒子濃度の見掛け上の減衰率は粒径別に観測により求まっているから,これから上記の拡散稀釈の効果を差引けば,エーロゾル粒子の大気中における滞留時間を粒径別に求めることができる.
1972年と,1974年の観測の結果によると,エーロゾル粒子の大気中における滞留時間は大粒子ほど短かくその結果,粒径分布の重心は時間とともに粒径の小さい方へ移行することが見出された.
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© 社団法人 日本気象学会
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