気象集誌. 第2輯
Online ISSN : 2186-9057
Print ISSN : 0026-1165
ISSN-L : 0026-1165
定常散逸赤道波に伴うラグランジュ平均運動:第1部
高橋 正明瓜生 道也
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 59 巻 6 号 p. 781-800

詳細
抄録

定常で散逸しつつある赤道波に伴う,定常なオイラーおよびラグランジュ平均運動を議論する。波は底面の凹凸の運動で励起し,時定数αのレーリー摩擦とニュートン冷却で散逸すると仮定し,平均流についても同じとする。考察する波はケルビン波,混合ロスビー重力波,n=1(n は南北のモード数)のロスビー波およびn=1の西向き伝播慣性重力波である。
すべての赤道ノーマルモードの波について,オイラー平均子午面循環とラグランジュ平均子午面循環は共に赤道を越えない。この結果は,事柄が静止状態から始まるとすれば,波によってつくられる平均流の波への feed-back を考慮しても同じである。すなわち空気粒子が平均として赤道を越えるためには基本流の非対称性が必要である。
ケルビン波の場合,ラグランジュ平均子午面循環はオイラー平均子午面循環と同じになることが示され,赤道上で下降流となることがわかる。又この場合,ブシネスク流体を仮定すると平均子午面循環はつくられない。他のモードの場合,ラグランジュ平均子午面循環はオイラー平均子午面循環に比べて簡単な構造になっている。例えば混合ロスビー重力波では オイラー平均子午面循環は半球で2細胞構造であるが,ラグランジュ平均子午循環は1細胞構造になっている。
さらに,混合ロスビー重力波の場合,オイラー平均流において子午面方向の力のバランスが地衡風バランスから非常にずれていることが特筆される。

著者関連情報
© 社団法人 日本気象学会
次の記事
feedback
Top