気象集誌. 第2輯
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バロトロピックモデルによる渦の移動についての数値的研究
北出 武夫
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1981 年 59 巻 6 号 p. 801-807

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抄録

大気中における渦の移動をバロトロピックモデルの数値時間積分により調べた。Rossby(1948)により提出されたβ効果による軸対称正循環渦の北方への加速が,渦のサイズと渦の強さに比例することが確認された。しかし渦は初期の加速段階の後,ほぼ一定の速さで北に移動することが見い出された。その速さはβL02/U0<0.01の範囲で,近似的に0.52β0.6L01.2U00.4で表わされる。ここでβ, L0, U0はそれぞれコリオリ係数の南北変化の割合,渦のサイズ,渦の強さを表わす。
さらに渦は平均移動経路のまわりに,ある種の振動をすることが見い出された。その周期はほぼ10時間から30時間の間にあったが,Yeh(1950)やKuo(1950)の理論から期待される振動周期のL0やU0との依存関係は必ずしも満たされなかった。

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