気象集誌. 第2輯
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エーロゾルoptical thicknessの観測値と粒径分布測定からの計算値との比較
小林 隆久矢野 直
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1982 年 60 巻 6 号 p. 1249-1258

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抄録

大気中エーロゾルの挙動を調べるために, SunphotometerとParticleカウンターによる同時測定を航空機及び地上において行った。共にエーロゾルを光学的に測定するもので, Sunphotometer は鉛直気柱総量を,またカウンターはサンプリング大気中の情報を与える。
航空機による測定では,カウンターや Extinction efficiency factor の複素屈折率依存性を考慮して,1.4,1.5,1.595及び1.5-0.01iについて, optical thickness を計算し, Sunphotometer による観測値と比較したところ500nmでは,屈折率による差はあるが,どの高度でも比較的良く一致した。また,この観測では混合層が存在し,その toP ではエーロゾルの optical thickness は地上の約1/10となっており,地上におけるエーロゾルの optical thickness は,混合層内のエーロゾルの影響を強く受けていたと考えられる。つまり,このような場合地上でのエーロゾル濃度と optical thickness とは関係が深いと予想される。
そこで地上においても同様の測定を行い, Sunphotometer から得られた optical thickness と粒度分布観測及び Elterman の高度分布を用いて計算した optical thickness とを,大気安定度に関連して比較したところ,中立時適用した場合に最も良い一致を示した。接地逆転層のあるような安定時には, Elterman の分布に比べ過大の地上濃度が観測されたが,その解消と共に計算値と観測値の比は1に近づいた。また,不安定時に近くなると過少の地上濃度であったが,両者の変化傾向は最も良く一致した。

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© 社団法人 日本気象学会
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