我国のMONEX観測計画の一環として,境界層の風のプロフィルの船上観測が西太平洋の赤道海域において実施された。本研究のために船舶上でのパイボール観測の新しいシステムが開発された。観測された境界層風は,鉛直方向に一様な混合層的な様相を示す。一様な風の層の厚さは熱的に,決められた混合層の厚さと同程度である。この結果は,熱的な混合層の中で風速の鉛直シアーが認められている,熱帯貿易風中での一般的な知見と異っているように思われる。境界層風と等圧線のなす角度および実測風速と地衡風速の比について得られた2,3の結果は,低緯度地域についての気候学的な値と良く一致する。スコールの前面における下降気流による吹き出しの観測例が得られ,吹き出しの厚さは海面上200m程度とみられる。