抄録
1969年と1970年に行われたGARPの予備観測で,われわれは外洋上の風速,気温,湿度の平均鉛直分布を測定した.風が強く,うねりの高い場合に異常な風速分布が度々観測された.これらの風速分布は対数分布をしておらず,波高の約倍くらいの高さに風速のピークがある場合が多かった.
風速分布の観測はすべて九州から約200~300kmはなれた外洋で研究観測船白鳳丸を用いて行われた.風速は船首から9.6m前方へ突き出されたブームの先端に鉛直にとりつけられたポールにルに設置された5組の小型三杯風速計によって測定された.また,波高はジャイロスコープ,加速度計および超音波波高計で観測された.
風速分布を求める際,乱れによる三杯風速計の回り過ぎ,船体の動揺,熱的成層状態が考慮された.
結論は次のとおりである.
うねりの高い外洋上で平均風速が増大するにつれて,対数型風速分布からの偏筒が大きくなる,そして二つのピークを持つ波高分布に対応して風速分布に明瞭な二つのピーグが認められた.