抄録
南半球モンスーン域(3.75°-11.25°S,90°E-180°)で平均した850mb偏西流の変化から1978-79年のモソスーン開始時期を決定した。下層のハドレー循環の強化に伴って,850mbの偏西流は12月22-30日の期間に急速に強まった。この期間の前後における大規模な熱,水蒸気,および渦度の収支についてしらべた。モンスーン開始とともにオーストラリア北東部と西部南太平洋(~18°S,170°E)附近では急速な加熱と水蒸気収束が起こった。これら二つの地域はもっとも対流現象の盛んな所である。
モンスーンの開始時期はモソスーン域内の各地域でかなりの違いがある。また開始時期の定義に用いた気象要素により大きな違いがみられる。例えばオーストラリア北東部において,447mbの大規模加熱は12月23日に始まったが,592mbでの水蒸気収束は12月30日に起こった。