抄録
極軌道衛星から得られた外向長波放射(OLR)の季節内での振舞を1979年1月から11月の期間について調べた。
全期間のOLRデータから求めたパワースペクトルは,30~60日及び15~25日周期帯の存在を示している。30~60日周期帯の強いパワーは,南半球夏季には,インドネシア南部からオーストラリア北部にかけて分布し,北半球夏季には,南アジアに存在している。
季節内変動と熱帯低気圧の活動度との関係が解析された。多くの場合,両半球夏季において,熱帯低気圧の発生,発達は,季節内変動が活発な位相の時に起きている。
季節内変動と短周期(3~10日)変動との関係も調べた。短周期変動の振幅は変調しており,季節内変動が活発な位相の時に振幅が大きくなっている。北半球夏季において,短周期変動の振幅変調は,30~60日周期波数1の東進成分が卓越している。