気象集誌. 第2輯
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梅雨期中国東部の大雨をもたらすメソスケール循環系におよぼすチベット高原の影響
Shou-Jun ChenLorenzo Dell'osso
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1986 年 64 巻 1 号 p. 53-63

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抄録
下層ジェットおよび下層南西渦(中国南西部の低気圧循環系)は東アジアに大雨をもたらす主要なメソスケール擾乱である。これらにおよぼすチベット高原の影響を調べるためECMWFの狭領域格子モデルを使用し,梅雨期の大雨例についての実験を行った。
格子域の平均高度を持つ地形を含むコントロ|ル実験では下層ジェットの変動,南西渦の発達と大雨域はシュミレートされた。チベット高原の高さを滅すると,南西モンスーンと中緯度偏西風は作用しあい,南西渦のかわりに傾圧性擾乱が発達し,大雨域は東に移る。高原の高さを増すと,メソスケールシステムは強化され,その位置は高原近傍はおさえられ,大雨域は西に移る。
実験の結果はチベット高原が,三気流系(中緯度からの北風,Bengal湾からの南西モンスーン,および西太平洋からの東風)に影響し,メソスケール循環系を発達,維持させることを示した。
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© 社団法人 日本気象学会
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