気象集誌. 第2輯
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NOAA•7のAVHRR分割窓領域データによる対流性降雨域の推定
井上 豊志郎
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1987 年 65 巻 3 号 p. 469-481

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抄録

極軌道衛星 NOAA一7に搭載されている AVHRR の11μm と12μm のデータを用いて対流性降雨域推定の可能性を調査した。分割窓領域2チャンネルデータから,積乱雲, および,降水領域推定で問題点であった降水を伴わない絹雲系の雲と下層の積雲を客観的に判別した。この研究では,700mb より高い雲頂を持つ積雲および積乱雲を衛星による降雨域と定義し,対応するレーダーの降雨域との比較を8例行なった。調査は, ディジタルレーダーの観測範囲と,対流雲の発生しやすい大気状態を考慮して,北緯33°-39°, 東経135°-141°の領域について,1984年の夏期に行なった。
本手法は,従来の-20°Cを降水雲の閾値とする赤外1チャンネル法に比し,表現率で12%, 空振り率で13%良好な結果を示した。空振り率では,ほぼどの場合でも良好な結果を示した。本手法の従来の赤外法に対する空振り率の改善は,他の著者により報告されている可視•赤外2チャンネル法が従来の赤外法に対して示す改善と同程度であった。 本手法が赤外法に比して特に良好な結果を示すのは,単層の絹雲系の雲,あるいは下層の降水雲が調査域を広く覆っている場合であった。

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