気象集誌. 第2輯
Online ISSN : 2186-9057
Print ISSN : 0026-1165
ISSN-L : 0026-1165
南極沿岸域の高気圧下の雲の形成機構
和田 誠
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 65 巻 3 号 p. 483-495

詳細
抄録

昭和基地の1979年の高層及び地上データまた内陸みずほ基地の地上観測データを解析し,高気圧下に於ける雲の形成機構について考察した。昭和基地では12月を除いて高気圧下においても,雲量10の時が30%以上あった。みずほ基地でも,月による変動があるが雲量10の日数はかなり高かった。更に高気圧下においても降雪が観測されたこともあった。これらの回数は夏期より冬期に多かつた。高気圧下においては,しばしば安定層や逆転層が見られ,それらは,800mb付近と雪面(地表面)近くに多く見られた。雲の形成,発達はこれらの安定層と関係していることが多い。解析から示唆されたおもな雲の形成機構は,安定層の下の弱い対流活動,湿った空気と冷たい空気の混合,そして雪面での放射冷却に起因する機構であり,発達機構のひとつは雲頂での放射冷却に起因する機構であった。

著者関連情報
© 社団法人 日本気象学会
前の記事 次の記事
feedback
Top