1989 年 67 巻 2 号 p. 293-312
有限振幅•非地衡風の意味で、波動•平均流相互作用及びラグランジュ平均子午面循環を解析する方法が提案される。このスキームでは等温位面で帯状平均した気圧を鉛直座標に用いる。各変数の帯状平均場は等温位面上で荷重平均され、この荷重は等温位面問の大気質量に比例する。運動方程式•連続方程式及び熱力学方程式は Andrews & McIntyreによる変形されたオイラー平均(P-TEM)の方法と同型に定式化されるが、熱力学方程式は渦輸送の項を含まない。これにより、新スキームは有限振幅•プリミティブ方程式の条件のもとでのストークス•ドリフトの除去を可能にしている。
新スキームの実用性を確かめるために、 NCAR の大気大循環モデルの診断を行うP-TEMとの比較では質量流線関数及び EliassenPalm フラックス収束に大きな相違が見られた。特に、新スキームで得られた質量流線関数は、下部成層圏に単一セル(いわゆる Brewer-Dobson 循環)を形成する。
最後に新しい座標系の応用として、微量成分の2次元輸送方程式が定式化される。その場合、波動による拡散は自由度一の対称行列として表現される。