気象集誌. 第2輯
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長崎における1982年5月の黄砂の光学特性第2部モデル
中島 映至田中 正之山野 牧塩原 匡貴荒生 公雄中西 裕治
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1989 年 67 巻 2 号 p. 279-291

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抄録

長崎において1982年4月24日から5月11日までポーラーネフロメータによる黄砂粒子の散乱位相関数の測定を行った。Pollack and Cuzzi の半経験的理論によるモデルや、Mie 散乱粒子に仮想的な吸収を導入したモデルは、黄砂粒子の強い非球形性を示唆した。また、ポーラーネフロメータを含む数種の測器の観測データから得られた黄砂粒子の体積スペクトルを用いて、波長別消散断面積、単一散乱アルベド、非対称因子、後方散乱関数を求めた。
観測地での黄砂粒子の体積濃度は、黄砂現象の最も強かった5月4~6日には666l/km2、続く5月8日には183l/km2と推定された。複素屈折率の虚数部として0.01および波長依存するモデル値を用いると、これらの値から計算される太陽放射加熱率は0.08~0.40°C/dayに達し、1回の黄砂到来により広い範囲にわたって大きな放射効果を及ぼすことが予想された。

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