気象集誌. 第2輯
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弱風晴天日の中部日本域における日中の昇温過程(その3)
日中の熱的低気圧と早朝の熱的高気圧
桑形 恒男住岡 昌俊
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1991 年 69 巻 1 号 p. 91-104

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抄録

春期の弱風晴天日に中部日本域に発生する熱的高•低気圧の発生機構を熱収支的に解析した。従来、熱的高•低気圧は海面更正気圧を用いて解析されてきたが、その方法では熱的高•低気圧の強さを2~3倍過大評価してしまう。本研究では、新たな解析手法を用いて各高度面における気圧分布を評価した。日中の下層大気の昇温にともなって、内陸を中心に地上気圧が時間と共に減少し、午後遅くには熱的低気圧が発達する。解析の結果、熱的低気圧の強さは約2mb、厚さは約2000 m(海抜高度)と評価された。熱的低気圧は下層大気の昇温量の地域差が原因で発生する。盆地昇温効果と平地一台地効果および海風冷却効果の3つが昇温量の地域差を生み出す原因であり、特にはじめの2つの効果が重要である。一方、早朝には日中とは逆に熱的高気圧が発達する。解析の結果、熱的高気圧の強さは約1.6mb、厚さは約2000mと評価された。 熱的高気圧は下層大気の夜間冷却量の地域差が原因で発生し、盆地冷却効果と平地一台地効果が夜間冷却量の地域差を生み出す原因となっている。

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© 社団法人 日本気象学会
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