抄録
不安定な接地境界層内の煙突の煙の瞬間的な像を求める数値シミュレーションを行った。瞬間的な像の特徴的な形は速度の空間相関の導入によって作り出された。空間相関をもつ軌跡は、マルコフ連鎖の式の中で、空間相関をもった乱数を用いることによって求めた。空間相関をもつ乱数の場は、乱れのスケールに対応する長さで分割された各領域に、独立に乱数を与えることによって得た。風速の平均値および変動の経験的な値を使用し、それらの知識から乱れのスケールを推定した。高さ60mの煙突からの拡散をシミュレートし、煙の形を求めた。大気の一つの条件に対しいくつかの像を示した。結果は不規則な形をもち、現実の煙の形をかなりよく表現できていると思われる。シミュレーションの結果から速度の空間相関が検出されたが、与えた乱数の相関より値は小さい。