Journal of UOEH
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鼻部限局のびらんを初発とした抗デスモグレイン1抗体ならびに抗デスモグレイン3抗体陽性の尋常性天疱瘡の1例
金岡 亜也加 澤田 雄宇
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キーワード: 天疱瘡, 鼻部, びらん, マスク
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2022 年 44 巻 2 号 p. 215-219

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抄録

73歳,男性.初診数ヶ月前より,両鼻翼から鼻尖部にかけてびらんが出現した.初診時,びらんは鼻部のみに限局していた.マスクによる摩擦の影響も考慮し,天疱瘡による皮疹増悪の可能性を考え,抗デスモグレイン1抗体ならびに抗デスモグレイン3抗体を測定すると著明に上昇していた. 病理組織学的所見では,顆粒層部における棘融解がみられた.以上より,抗デスモグレイン1抗体ならびに抗デスモグレイン3抗体陽性の尋常性天疱瘡と診断した.その後,四肢体幹への皮疹の拡大があり,プレドニゾロン,アザチオプリンで加療し,皮疹は改善した.顔面のびらんでは,本症も鑑別として挙げる必要がある.また,近年,新型コロナウイルス対策としてマスクの着用が必須となっているが,マスクによる刺激も自験例での増悪因子として考えられた.

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© 2022 産業医科大学
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