気象集誌. 第2輯
Online ISSN : 2186-9057
Print ISSN : 0026-1165
ISSN-L : 0026-1165
X-バンドとKa一バンドの2周波レーダによる降雨の偏波観測
中村 健治猪股 英行
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 70 巻 6 号 p. 1085-1095

詳細
抄録

X-バンドとKa-バンドの2周波レーダによる降雨の偏波観測を行った。このレーダは2つの周波数のアンテナビーム幅が同じになるように設計されており、周波数による差を明確に観測することができる。また偏波を水平•垂直に変えることができる。偏波切換えは遅いため、精度的には若干問題はあるが2周波数により同時に観測しているため、周波数による差は信頼できると考えられる。このレーダにより降雨からの散乱波のZDRの周波数特性を実験的に求めた。X-バンドではZDRは降雨強度とともに増大した。それに対して、Ka-バンドでは、ZDRは近い距離では降雨強度とともに若干増大した。また遠い距離では降雨強度とともに若干減少した。この特性は、Ka-バンドでは、Mie散乱の影響が効いてきて降水粒子の散乱断面積が降水粒子が大きくなっても必ずしも大きくならないこと、また伝搬路での降雨減衰が、水平偏波の方が大きいことから説明できる。

著者関連情報
© 社団法人 日本気象学会
前の記事 次の記事
feedback
Top