抄録
二次元モデルを使い海風の最大上昇流の水平格子幅と水平拡散係数依存性を調べた。
通常使用される水平格子幅(Δx)において最大水平風は大きな変化を示さないが、最大上昇流(WMAX)はΔxを大きくすると(Δx)-1に比例して弱まる。またΔxを逆に小さくしていくと一定値に近付く。Δxを大きくすることは、平均化して現象を見ている面があると思われるが、実際に平均操作によってWMAXはΔxを増加させたのと類似した減衰を示す。しかしながら、Δxを増大させたときの減衰率は平均操作をした場合より大きな減衰を示す。
さらにWMAXは水平方向の拡散係数により大きく抑制される。Δxを大きく取ることも水平拡散係数を大きく取ることも共通して、現象のスムージングと関係している。このように数値モデルにおいて一点のWMAXはΔxやスムージングの方法により変化しやすい量であり、それほど意味はないであろう。量的に意味があるとしたら領域平均的WMAXであり、Δxは現象に応じて十分小さく取られる必要があるといえる。