抄録
TOGA COARE集中観測期間中の1993年2月5日から2月14日にかけ、0°、156°Eの定点で連続CTD観測および海上気象観測を行った。水温のデータには、240、340、570、760dbarに水温変動の大きな偏差が見られた。これによる、1000dbarを基準にした海面でのジオポテンシャル・アノマリーの標準偏差は海面で±0.28m2/s2であった。
海洋表層では、10日平均の0-60dbarの深度の海洋中の貯熱量の時間変化(heat storage rate)は、-27.1Watt/m2(正は熱を失う)であり、船上で観測を行った海上気象データから計算された10日平均の海面熱フラックスは-24.2Watt/m2(正は上向きで海洋は熱を失う)であった。この海洋の貯熱量の時間変化と海面のフラックスの差で定義された残差量の一致は、6時間毎の残差量では、計算誤差に比べ十分大きな値を示すにもかかわらず、この観測期間の平均において表層水温が主に海面での熱フラックスによって支配されていたことを示している。