1999 年 77 巻 1B 号 p. 281-290
全球土壌水分プロジェクト(GSWP)の枠組みにおいて、一つの地表面スキームを用いて葉面積指数(LAI)に焦点を絞った一連の感度実験を行った。まず、GSWPにおいて提供された元来の緯度経度1度グリッド分解能のLAIを変化させて、植生タイプごとにそのグローバルな平均値を用いるようにした。また、それを植生タイプごとのLAIの標準偏差分だけ加減して変化させた。さらに全球一様のLAIを用いた場合、より粗い空間分解能にLAIを平均化した場合、そして季節変化をずらした場合についての感度実験も行った。数値実、験の結果では、7月平均の全蒸発量で30Wm-2の変化が一般的であった。土壌水分にも概ね5%を越える変化が生じ、それは時に飽和土壌水分の10%を越えていた。この様に土壌水分推定に対するLAIの影響は十分に大きく、GSWPにおいてはLAIを注意深く準備する必要があり、そしてどのような土壌水分推定にあたってもLAIが適切な精度(おそらくは±1以内、少くとも±2以内)で与えられていることが必要である。LAI情報に関するどんな問題(精緻な季節変化よりはむしろ特に量に関して)も土壌水分推定値に誤差をもたらすことであろう。