気象集誌. 第2輯
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SSiBを改良した新雪モデル
II: GEOS II GCMによる土壌水分初期値化と地表フラックス・降水・水文への効果
David M. MockoGreg K. WalkerY. C. Sud
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1999 年 77 巻 1B 号 p. 349-366

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抄録

GSWP ISLSCP Initiative Iデータで強制したSSiBモデルをより現実的な雪の物理過程と融雪浸透過程を導入して改良した。新モデルをGSWPデータで再度積分した。新SSiBは顕著な融雪のある地域において、より湿って暖かい土壌をシミュレートし、より現実的な融雪時期と流出をもたらした。このシミュレーションを使ってGEOS II GCMの地面温度・土壌水分・積雪を初期値化し、1987年と1988年6-8月のアンサンブルランを行った。それぞれのアンサンブルは5月29日から6月3日のECMWF再解析を初期値とする6例である。
旧SSiB GCMに比べて、新水文過程を含む新SSiB GCMではカナダとロシアの中・高緯度帯の降水予測が顕著に改善された。蒸発散、土壌水分、流出も、新SSiB GCMは旧SSiB GCMに比べて良くなった。さらに、北部インドの降水量の1988年と1987年の差も新SSiB GCMでより強調された。米国では、旧SSiB GCMでは1988年の干ばつ状態のシミュレーションに失敗したが、新SSiB GCMでは少し良くなった。これは1988年と1987年の差でも明らかである。この領域では初期条件の影響は約1ヶ月で失われ、その後非現実的な循環になる。

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