1999 年 77 巻 6 号 p. 1271-1286
1983年夏季のデータを用いてチベット高気圧の強さと亜熱帯ジェットにトラップされた準定常ロスビー波の振幅との関係について調べた。7月から8月にかけて、チベット高気圧付近には、主な高温期と低温期が20~30日の周期で3回ずつみられた。これらの変動は、350Kと360Kの等温位面の間の層にある大気質量の変動と一致していた。3回の低温期は、チベット高気圧のすぐ北側の亜熱帯ジェットにトラップされた準定常ロスビー波の増幅と対応していた。これらのロスビー波束は、350Kから360Kの温位を持った大気をチベット高気圧から外側へ輸送することによって、この領域の気温を低下させるうえで重要な役割を果たしていた。亜熱帯ジェットにおける準定常ロスビー波の増幅の数日後に、チベット高気圧の北東縁辺で成層圏と対流圏の間の質量交換現象がみられた。