内観研究
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Print ISSN : 2432-499X
原著
フォーカシングから見た内観療法
伊藤 研一三木 善彦三木 潤子小林 孝雄南風原 朝和
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2009 年 15 巻 1 号 p. 49-58

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抄録

 ジェンドリンはどのような心理療法でも、治療的変化が生じるときには、ことばにはならないが、からだに感じられている感じ(体験過程)に適切に触れることが生じていると述べた。しかし、心理療法の技法によって、体験過程の流れがどのように促進されるかについては違いが見られるという。本論文の目的は内観療法が体験過程の流れをどのように促進するかについて①理論②フォーカシングと内観療法の統合的技法(内観フォーカシング)の実践③フォーカシングを繰り返し経験することによって身についてくる日常生活における態度(フォーカシング日常化傾向)という三つの観点から検討することである。はじめに理論の面からは、内観の三つの課題の想起は、体験過程を活性化する大きな力を持っていることが示唆された。第二に内観フォーカシングの実践例では、集中内観ではフェルト・センス(体験過程がどのように感じられたか)の変化が大きく、そのことが次第に「迷惑をかけたこと」の重みを増し、それと向き合うためには「安全感」が感じられていることが重要であると考えられた。最後にフォーカシング日常化傾向の点では、集中内観が「問題とほど良い間合いをとる」傾向を大きく増大する力があり、そのこと自体が心理療法的効果をもたらし、「迷惑をかけたこと」に十分に向き合うことをささえることが示唆された。

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© 2009 日本内観学会
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