内観研究
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資料(中国の内観療法)
内観療法治療効果と心理機制の体験
毛 富強
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2009 年 15 巻 1 号 p. 67-72

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抄録

 内観療法 (Naikan Therapy) は、1953年に吉本伊信によって確立された、東洋文化に根ざした心理療法の一種です。著者は、2008年4月3日から11日まで、大阪内観研修所にて80時間に及ぶ集中内観を体験しました。この集中内観を通して、仕事、家族、そして対人関係において積極的な姿勢が生まれました。また、精神的な清清しさを感じ、とても落ち着いた気持ちになることができました。これらを引き起こした内観のメカニズム(心理機制)は、自分の人生と他の人から受けた恩恵を内省させる方向に導こうとするものです。この心理機制によって、人生観を再構築し、自分の過去を様々な角度や側面から見直すように促されるのです。内観療法は、自分自身の不正や過失に対する恥の感覚を鋭敏にし、社会への積極的参加を回復させ、人々や世界に対する信頼感を高めるのに有効です。それらは健康な人間が持っているべき資質でしょう。そして、自己イメージと他者イメージを健全な形に変え、自制心を高めるのです。内観療法は、東洋文化を背景に持つ人々の、精神障害の予防や精神衛生の促進において期待できると思います。

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© 2009 日本内観学会
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