2009 年 15 巻 1 号 p. 73-81
「内観」は1.世話になったこと、2.して返したこと、3.迷惑をかけたことを過去から現在までを思い出す作業である。内観は1週間の宿泊研修の集中内観だけでなく、「記録内観」という内観したことをノートに記録する方法によって、家庭や学校や矯正施設などで内観することも可能である。ここで報告する事例では、集中内観前にクライエント中心のカウンセリングに内観的思考様式を加味した内観志向的カウンセリング場面で「よかった探し」と「記録内観」の課題を出し、内観的思考様式に慣れていただき、集中内観への意欲を高めた。また集中内観後にもアフターケアとして内観志向的カウンセリングを実施した。その結果、クライエントは5年間の身体の痛みから解放され、夫婦関係を改善した。そこで内観志向的カウンセリングと集中内観の相乗効果について報告したい。