2024 年 30 巻 1 号 p. 45-54
われわれは、西日本にある13少年院における内観法(集中内観)の実施について調査したところ実施施設が減少していることが判明した。その一方で、内観法を実施している少年院では、内観法は、日々の矯正教育と一体化することで、相乗効果を発揮しており、内観法がメタ認知能力と自分と他人に対するグッドイメージを育成していた。近年では、虐待経験のある在院者が増加しており、それら在院者は、虐待経験を想起させる理由から、内観法が不適切と考えられている。そこで本稿では、内観法がマインドフルネスへの置き換えが可能かどうかについて検討した。検討した結果として、メタ認知能力の育成の観点からは、内観法の代用としてのマインドフルネスの活用も十分に考えられる。ただし、人間の心の発達にとって必要不可欠なことは、心の中にある自己と他者のグッドイメージをいかに育てるかということであり、これは内観法に備わった優れた特性であることが示唆された。