抄録
本論文では,日本全域を対象とする洪水リスク評価モデルの一部として,降雨時系列と空間分布を模擬的に発生させる確率降雨イベントモデルについて示す。降雨イベントの年間発生頻度とイベント総降雨量,降雨の時空間分布を統計的にモデル化し,モンテカルロシミュレーションによって降雨イベントを模擬的に発生させる。地方別の豪雨発生回数や年最大72時間降雨量の再現期間について,観測データと本モデルの結果が整合することを確認した。例えば,100年再現期間の年最大72時間降雨量は,本モデルで疑似発生させた降雨イベントと観測雨量とでよく一致した。したがって,本モデルで作成された疑似降雨イベントは,洪水リスク評価に利用する上で有用であると考えられる。