本研究の目的は,日本の豪雨災害による犠牲者の発生位置と,災害リスク情報(ハザードマップや地形分類図等)の関係について解析することである。筆者は,1999~2018年の豪雨災害犠 牲者1259人分についてのデータベースを構築している。本研究ではこのうち,洪水や河川に接近などの水関係犠牲者と,土砂災害による犠牲者767人を解析対象とした。土砂災害犠牲者の 87%は,土砂災害危険箇所の付近で発生していた。一方,洪水等の水関係犠牲者で,浸水想定 区域付近で発生した者は42%だった。水関係犠牲者について地形分類図による情報との関係を 検討すると,犠牲者の85%は地形的の洪水の可能性がある低地で発生していた。洪水などの水 関係犠牲者や,土砂災害犠牲者のほとんどは,地形的に災害が起こりうるところで発生していると言っていい。ただし,ことに居住地付近の洪水の危険性を理解するためには,現在のハザー ドマップだけでは不十分である。地形分類図に関する分かりやすい情報の整備が重要である。