抄録
大規模災害の発生時には,自宅での入浴が困難になる。既往の災害では官民による入浴支援
が実施されてきたが,巨大災害に備えた支援拠点の事前整備が急務である。本稿では入浴支援
によって実現する「被災時に入浴できる環境」の価値を,仮想評価法によって推計し,拠点整備
費用との対比を行った。その結果,入浴できる環境に対する支払意思額(WTP)の中央値は7,334
円,平均値は20,292円となった。拠点整備費用との対比では,入浴拠点によって創出される価
値が整備費用と同等以上となる可能性も期待でき,公的資金を用いて拠点整備を行うことにつ
いての一定の妥当性が示唆された。