抄録
令和元年8月の豪雨では,福岡県および佐賀県で複数のため池が被災した。本研究では,佐賀県小城市において決壊した西分第1ため池の被災メカニズムを明らかにすることを目的とし,合理式法に基づいた堤体の越流発生の有無の判定および降雨浸透を考慮した堤体下流法面の安定性を検討し,ため池が決壊した要因の分析を行った。FEM 解析による非定常の飽和- 不飽和浸透流解析を行い,同時に修正フェレニウス法による堤体法面の安定解析を行った。その結果,
降雨浸透によって堤体下流法尻にすべり破壊が発生し,堤体が不安定化したことで,上流側に向かってすべり破壊が進行したことが主な要因と推察される。