自然災害科学
Online ISSN : 2434-1037
Print ISSN : 0286-6021
報告
2020年7月の梅雨前線豪雨により熊本県球磨村の渡地区で発生した洪水災害の被害調査
山本 晴彦渡邉 祐香兼光 直樹坂本 京子岩谷 潔
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2021 年 40 巻 1 号 p. 103-122

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抄録
梅雨前線豪雨により,2020年7月3日12時から翌4日12時までの24時間降水量は,熊本県の天草・芦北地方から球磨地方を中心に400mm以上を観測した。本豪雨により球磨川中流の球磨村の渡水位観測所では4日7時30分に12.88mを観測した後,水没により欠測となった。渡地区にある特別養護老人ホーム千寿園は氾濫平野の低平地に立地し,洪水ハザードマップ(計画規模)では浸水想定区域外であるが,想定最大規模のハザードマップでは10~20 mの浸水が 想定されている。急激な水位の上昇により2階への避難が間に合わず,入所者14人が亡くなった。渡地区の峯集落では最高760cmの浸水痕跡が確認され,国土地理院が作成した浸水推定図の8~ 9m とほぼ一致した。
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© 2021 日本自然災害学会
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