抄録
2011年東北地方太平洋沖地震では,約500 km ×200 km の広大なプレート境界域が破壊され,
海溝付近で約50 m もの滑りが生じた。このような大きな滑りが発生した理由としては,滑りが
海溝を貫通したこと,thermal pressurization の発生,浅部の弾性定数が小さかったこと等が挙
げられる。広大な滑り域の理由は,大きな高強度パッチモデルやhyper asperity モデルで説明
できる。このような巨大な地震を予見できなかった理由を一言で言えば,限られた情報から「過
学習」してしまったからである。東北地方太平洋沖地震から学ぶことは重要だが,学びすぎて
はいけない。さもなくば,次のM9の地震はまた「想定外の地震」になってしまう。