自然災害科学
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2011年東北地方太平洋沖地震とその教訓
松澤 暢
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2021 年 40 巻 1 号 p. 7-21

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抄録
2011年東北地方太平洋沖地震では,約500 km ×200 km の広大なプレート境界域が破壊され, 海溝付近で約50 m もの滑りが生じた。このような大きな滑りが発生した理由としては,滑りが 海溝を貫通したこと,thermal pressurization の発生,浅部の弾性定数が小さかったこと等が挙 げられる。広大な滑り域の理由は,大きな高強度パッチモデルやhyper asperity モデルで説明 できる。このような巨大な地震を予見できなかった理由を一言で言えば,限られた情報から「過 学習」してしまったからである。東北地方太平洋沖地震から学ぶことは重要だが,学びすぎて はいけない。さもなくば,次のM9の地震はまた「想定外の地震」になってしまう。
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