抄録
個別要素法を用いた粒状体シミュレーションでは,円形要素が用いられることが多い。円形要素は回転し易いため,要素の回転を抑制する方法として転がり摩擦が用いられてきた。一方,多面体要素を用いた個別要素法では,要素形状自体に回転を抑制する効果があるため,転がり摩擦を導入した解析事例はない。しかし,要素形状が実際の粒状体の形状と異なる場合,転がり抵抗も異なる。そのため,解析結果も実挙動と異なるものとなってしまう。そこで本研究では,多面体要素を用いた個別要素法に新たに転がり摩擦を導入した。提案した転がり摩擦が個別要素法において機能するか,転がり摩擦の導入により形状の異なる要素を用いた解析結果の差異を低減できるかどうか検証を行った。具体的には,十面体と八面体の2 種類の形状の要素について滑り摩擦係数と転がり摩擦係数を変化させた安息角を求めるシミュレーションを行い,転がり摩擦が安息角に及ぼす影響を調べた。また,岩塊の崩壊シミュレーションも行い,滑り摩擦および転がり摩擦が解析結果に及ぼす影響を検証した。