自然災害科学
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報告
令和4年の大雨事例における雨量と人的被害発生の関係性
本間 基寛牛山 素行
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2023 年 42 巻 S10 号 p. 1-20

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抄録
令和4年は,風水害によって14人の犠牲者が生じた。洪水,河川,土砂による犠牲者の遭難場所では,一部の事例を除いて,雨量7 指標既往最大比のいずれか,またはすべてが100%超となっており,人的被害が発生してもおかしくない状況下での遭難であった。平成30年から令和3年までの過去4事例の大雨事例をもとに, 7 指標既往最大比最大値別の人口あたり犠牲者発生数の評価関数を作成し,令和4年の一連の大雨に適用した。その際,洪水浸水想定区域などの災害リスク情報を利用した「災害リスク人口」を適用することで,従来よりも犠牲者発生数の推計精度が向上した。この評価関数を用いて推計した結果, 7月14日からの大雨,台風11号,台風14号の3 事例では実績値と概ね一致する推計結果が得られた。8月3日からの大雨や台風15号の事例では,実績値に対してやや過大となる推計結果が得られた。これらの事例では,屋外で行動している人が少ない夜間での大雨の発生であったこと,家屋の全壊といった人的被害につながりやすい被害規模の家屋はかなり限定的だった可能性が高いことなどが考えられる。
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© 2023 日本自然災害学会
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