抄録
災害が発生すると被災自治体では,応援職員を受け入れて業務を行うこととなる。被災自治体職員からの指示を減らし,応援職員を運用するためには,応援職員に対して業務権限を委譲することが対策として提案されているが,その実例は確認できなかった。そこで,本研究では,令和6年能登半島地震における輪島市の被害認定調査を対象に,応援職員が所属する対口支援団体への権限委譲の過程を明らかにし,権限委譲を行うための6つの要点を考察した。また,権限委譲が可能な範囲については,監督責任に基づく業務以外であることを示した上で,業務の性質に応じて範囲を検討する必要があることを論じた。