抄録
本報では津波が河道内を遡上し河口近くではん濫被害が発生した新潟県上越市の関川河口付近,および直江津から大潟海岸にかけての津波遡上高に関する現地調査結果について報告する。関川での津波遡上は2024年1月1日の16時35分頃に発生し,河口から5 km 付近まで達したとされている。河口付近に設置された水位計の記録によると,第一波到達時にT.P 1.94 m の最高水位を記録した。津波の遡上により河口近くの右岸側で川沿いの住宅に浸水被害が発生した。直江津から大潟海岸にかけての津波遡上高に関する調査では,大潟漁港付近で標高5.5 m,さらに東側の大潟海岸では標高5 ~ 7 m 程度に津波により打ち上げられた漂流物の痕跡が確認された。直江津海水浴場では,砂浜に設置された商業用の建物を津波が通り抜けたような跡が確認され,建物背後の標高3.7 m 付近に木の枝などが線状にたまっている状況が確認された。