抄録
2024年1月1日16時10分頃,石川県能登半島の深さ約15 km でMj7.6(Mw7.5)の地震が発生した。能登半島北岸の震源域を中心に多数の斜面崩壊が発生した。輪島市市ノ瀬町の河原田川支流の猿谷では,地すべりによって堰き止め湖が形成された。この地すべり地形は,全長約1.1 km に及ぶが,詳細な地形観察により少なくとも7 つのエリアに区分できる。地形的特徴から,複数の地すべりがつながってひとつの地すべり地形をなしていることがわかる。地すべり堆積物は,縄又層(Nwの凝灰質シルト,砂岩,礫岩からなり,高洲山層(Ko)からのものはごく少量である。滑落崖には,今回の地震より前に生じた崩壊堆積物も観察され,これらの堆積物を調査することで,過去の地すべり史を解明できるだろう。