抄録
本稿は,令和6年能登半島地震時に輪島市河井町朝市通り付近で発生した地震火災について調査した結果を報告するものである。調査の結果,焼損棟数は全焼249棟,部分焼7 棟であり,焼失範囲の面積が約52,000 m²と推定された。なかでも特に著者らは本火災で建物に焦点を絞った現地調査を行い,焼失建物と焼け止まり建物のデータベースを作成することで被害の詳細な記録を残し,これと公的機関による情報等も収集し,出火・延焼・消防の3 点から本火災の概要を整理した。そして本稿ではさらに,本火災における焼け止まり条件を抽出した。この結果,6パターンの焼け止まり箇所において多様な延焼阻止の条件が得られた。