抄録
本稿では東日本大震災により甚大な津波被災を受けた宮城県南三陸町を対象に,発災後の移住者と復興,まちづくりとのかかわりについて検討した。特に,集中復興期間(2011~2015年)に復興支援に携わったのち,移住を果たした「第1期の移住者」に注目した。移住後の彼らは,「遠慮」しながらも自ら復興関連プロジェクトに参画するのみならず,新たな担い手となる新規移住者を呼び込んだり,町内外のさまざまなアクターを媒介したりすることで復興の担い手として活動した。その後,結婚や出産といったライフステージの変化,復興のフェーズの変化により彼らの担い手としてのプレゼンスは低下した。しかしながら,近年,まちづくりという局面において新たに浮上した課題を焦点とし,再びネットワークが結び直されている。