抄録
本研究では,令和4年台風14号での,宮崎県延岡市の指定緊急避難場所における人とペット
の避難受け入れ(同伴避難)対応の意義と課題について,避難場所に配置された行政職員へのイ
ンタビュー調査を基に検討を行った。延岡市では,市内75カ所の指定緊急避難場所のうち55か
所で,施設内に,避難者の居室とは別に「ペット避難スペース」が設けられていた。台風14号通
過前後の3日間で,最大1,088世帯(2,148名)が67か所の避難場所に避難し,うち9か所で,20
世帯(49名)がペット24頭(犬20・猫3 ・小鳥1 )と共に避難した。本事例では,避難場所の環
境整備,飼い主の自助,行政-市民の適切な「対話」「連携」によって,短期間・小規模だが『同
伴避難』が実現した。特に,飼い主-ペットの適切な避難行動の促進が示唆された一方,職員
から長期的な災害対応等に関する様々な課題が指摘された。今後も,「被災」の経験から得られ
た知見を基に,災害時に人もペットも誰もが助かるインクルーシブな「人とペットの災害対策」
を進める必要があると言えるだろう。